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アンダーキャットの考察日記



スタイルなんてクソクラエ


大学ではイラストレーション科を専攻してますが、基本的な油絵、ドローイングは必須科目です。人物やら静物ももくもくと描いています。イラストと聞くと何となく軽いタッチの"スタイル"とかいうあるようでないものを思い描きがちですが、そこに辿り着くというか流れつくのはずっと先のことだと私は考えています。今スタイルを確立するなんていったら、悪い意味での誰かの真似事にしかならないし、そこでスタックしてしまうような気がしてならないのです。


最近アメリカで権威のあるイラスト何とか協会主催のイラストレーションの展覧会をみてきました。プロ(金稼いでる人)の作品が出展されており、書籍部門とエディトリアル部門などに分かれ金賞銀賞と格付けされていました。が、しかし私にはさっぱりそれらが選ばれている理由が分かりませんでした。

これどっかでみたことある。。。あ、あの流行の人の真似ね〜、、、みたい作品ばかりで、これを選んだ奴は一体誰だ?!と頭にきちゃいました。大人の世界には子供や正直者には理解できない黒いコネコネの世界があるのは分かりますが、何だか売れっ子になる宿命のようなものを感じてすっかりどんよりしてしまった私。売れるためには上にペコペコして誰かの真似っぽい絵を描く。おーのーーー、これは嫌だ。絶対に。

一緒にいったクラスメイトは「この人のスタイル好き!」と無邪気。スタイルに頼り切ってしまうと絶対自滅すると思うんだよなぁ〜、といったら「でも売れなきゃ仕事ないじゃん」と結構現実的。そうなんだけどぉ〜、と私。難しいっすね。そう思ったら、展示されている作品の作者さんたちが何だか気の毒になってきました。

SVA卒業後にすぐに仕事が入ってくる奴らの作品は、ほとんど"どこかでみたとある系"です。イラスト業界も例外なく厳しいこのご時世、雇う側の"スタイル"にフィットしなければ仕事がなかなか見つからないのも現実。なので卒業後の見通しがない生徒は、イラストレーション専攻で大学院に進むという摩訶不思議な行動を取り、さらに無駄な時間とお金を費やしたりもします。無理矢理スタイルを作るのもloser(負け犬)だけど、イラストで大学院もbig loserに違いないと思うのですがね。


話は変わりますが、今美術史を勉強しています。日本の美術の授業でも習ったはずなのに、今の方がold mastersの作品に対する敬意と感動は大きいです。現代アートのように軽く真似なんてできるような代物ではない。だから真似は真似でもこちらをコピーする方がどれだけ勉強になるか。虚無でフェイクな"スタイル"に固執する人間に限って、こういう古典を軽視したり無知だったりするのも否めません。いつも感じるのですが、基本絵が描けなきゃ話にならん、と。スタイルでごまかすのは甘えていると強く思うのです。謙虚にmastersから学ばせてもらうことが、今の私には重要な気がします。


きっと私みたいな人間は将来売れないんだろうなぁ〜 でも so what? ですが。
by makaleo | 2010-02-16 17:00 | 考察
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ニューヨークに暮らすGデザイナー&美大生。日々の悶々とした考察について綴っています。※ブログの写真や記事の無断転載お断り

by makaleo