先日トルストイの本を探すのに本棚を漁っていた際に、ふと目に留まった「キスよりもせつなく」という文庫本。思わずむず痒くなるタイトルである。。
唯川恵という作家の小説で彼女の名前は聞いたことが、買った覚えも読んだ覚えもない。そこで遠い記憶を辿ってみる。。かれこれ5年以上前に友達のKちゃんとその友人が我が家に泊まりに来た時、読み終えた本を置いていくと言っていたことをふと思い出した。きっとその中の本の一冊だろう。
これほどムズムズするタイトルなものだから、気になって仕方なくて思わずページをめくった。主人公は地方から出てきた劣等感丸出しのOL知可子。序章は社内恋愛中だった彼氏に振られ、知可子の仲のよい同僚が彼と付き合っていることに気づく。。という設定。恋愛小説に興味がない私には、いい意味で歯が浮くような言い回しの文章が恋愛してる感を表していて新鮮だった。なんだか今まで私が読んできた本とは別世界が広がっている。修飾語や例えがパステルカラーで統一されている雰囲気といえば少しは伝わるだろうか。落ち込んでいる様子も藤色のような感じで、どす黒くない。まだ数ページしか読んでいないけど、未開拓分野への興味というスタンスで少し読み進めてみようと思う。
雨が降ってきた。ちょっとロマンチックなことをいえば、こんな甘い恋愛小説を読むには雨の日が似合うような気がする(笑)。